相続・遺言
2026年5月1日
更新: 2026年5月24日

生前贈与の完全ガイド|暦年贈与110万円・相続時精算課税・2024年改正点を徹底解説

生前贈与の完全ガイド|暦年贈与110万円・相続時精算課税・2024年改正点を徹底解説

生前贈与の2制度(暦年贈与110万円・相続時精算課税2,500万円)と2024年改正点(加算期間3年→7年)を徹底解説。住宅・教育・結婚子育て資金の3つの非課税特例、名義預金と認定されないための4つのポイント、家族構成別の節税戦略まで網羅した相続税対策の決定版ガイドです。

この記事のポイント

  • 生前贈与は暦年贈与(年間110万円まで非課税)相続時精算課税(累計2,500万円まで)の2制度を選択
  • 2024年1月1日改正で、暦年贈与の相続財産加算期間が3年→7年に延長
  • 相続時精算課税にも年間110万円の基礎控除が新設(贈与税申告不要)
  • 住宅取得・教育資金・結婚子育て資金は別枠の非課税特例あり
  • 節税効果は契約書・振込履歴・贈与税申告で「実態としての贈与」を立証することが必須

生前贈与とは?

生前贈与とは、自分の財産を生きているうちに(贈与者)から特定の人(受贈者)へ無償で渡す行為です。民法549条に定められた契約行為で、受贈者の承諾があって初めて成立します。

相続税対策として最もメジャーな手段で、亡くなる前に少しずつ財産を子・孫へ移すことで、相続時に課税される財産を圧縮できます。ただし2024年改正で抜け道が一部塞がれており、最新ルールの理解が必須です。

家族で資産計画を相談するイメージ
生前贈与は相続税対策の中核。最新ルールを把握して計画的に

2つの贈与税制度を比較

暦年贈与(暦年課税)相続時精算課税
非課税枠年間110万円累計2,500万円+年間110万円
税率10〜55%(超過累進)一律20%(2,500万円超部分)
相続財産への加算死亡前7年間の贈与を加算全額が相続財産に加算
適用条件誰でも可60歳以上の親→18歳以上の子・孫
切り替え暦年→精算は可、逆は不可選択後は変更不可
贈与税申告110万円超で必要選択届出書+申告
2024年改正の要点
(1)暦年贈与の相続財産加算が3年→7年に延長(経過措置あり)。(2)相続時精算課税にも年間110万円の基礎控除が新設され、申告不要。多数の選択肢が変わりました。

暦年贈与(年間110万円)の使い方

もっともシンプルで広く使われる方法。1月1日〜12月31日の1年間に、1人の受贈者が受け取った贈与額が110万円以下なら贈与税ゼロ。

封筒と日本円のイメージ
暦年贈与は計画的に使えば数十年で数千万円の節税効果

計算例:3人の子に20年間贈与

  • 毎年110万円 × 3人 = 330万円
  • 20年間で 6,600万円を非課税で移転
  • 相続税課税対象から6,600万円減 → 相続税率30%なら約2,000万円の節税

2024年改正後の注意:7年加算ルール

従来は死亡日前3年以内の贈与だけが相続財産に加算されていましたが、改正後は7年に延長されました。経過措置として、加算期間は段階的に延長されます。

相続開始時期加算期間
2024年1月1日〜2026年12月31日3年(従来どおり)
2027年1月1日〜2030年12月31日3年〜段階的に延長
2031年1月1日以降7年
4〜7年前の贈与は100万円控除あり
延長された4年分(4〜7年前)の贈与については、合計100万円までは加算しない緩和措置があります。それでも実質的な節税効果は大きく減少します。

相続時精算課税の使い方

累計2,500万円までは贈与税ゼロ、超過分も一律20%という制度。2024年改正で年間110万円の基礎控除が新設され、使い勝手が大幅に改善しました。

選択するメリット

  • 2,500万円まで一括贈与しても贈与税ゼロ(住宅・事業承継に有効)
  • 2024年改正で年間110万円は相続財産にも加算されない(純粋な非課税)
  • 値上がりが見込まれる資産を早期に移転 → 相続時の評価額固定

デメリット・制限

選択は撤回不可
一度相続時精算課税を選択すると、その贈与者からの贈与については一生暦年贈与に戻せません。慎重に判断してください。

3つの非課税特例(別枠)

暦年・精算とは別枠で使える非課税特例。条件を満たせば数千万円単位で非課税。

① 住宅取得等資金の非課税(最大1,000万円)

父母・祖父母から18歳以上の子・孫への住宅取得資金。省エネ等住宅は1,000万円、それ以外は500万円まで非課税。2026年12月31日まで延長中。

② 教育資金の一括贈与(最大1,500万円)

30歳未満の子・孫の教育費を一括で贈与。信託銀行等で教育資金口座を作って管理。30歳までに使い切れない残高は贈与税課税。

③ 結婚・子育て資金の一括贈与(最大1,000万円)

18歳以上50歳未満の子・孫への結婚・子育て資金。結婚関連は300万円、それ以外含めて1,000万円まで。

「名義預金」と認定されないために

握手のシーン
贈与契約書・振込履歴・申告で「実態としての贈与」を立証することが重要

税務調査で頻繁に問題になるのが「名義預金」。形式上は子の口座に入金していても、通帳・印鑑を親が管理していれば、実質的な所有者は親 → 相続財産に戻されます。

▼ 「実態としての贈与」を成立させる4つのポイント

  • 贈与契約書を毎回作成(日付・金額・贈与者・受贈者の署名)
  • 銀行振込で履歴を残す(手渡しはNG)
  • ③ 受贈者本人が通帳・印鑑・キャッシュカードを管理
  • ④ あえて110万円超を贈与して贈与税申告(実態の証拠になる)

節税戦略|誰に・いつ・いくら贈与するか

受贈者を増やすほど効果大

  • 子だけでなく子の配偶者・孫も受贈者に
  • 3人 → 5人 → 10人と増やすほど年間非課税枠が広がる
  • 例:子2+孫4+配偶者2=8人 × 110万円 = 年間880万円非課税

早めに始めるほど効果大

7年加算ルールがあるため、「死亡直前の駆け込み贈与」は効果薄。60代から計画的に開始するのがセオリー。

家族のイメージ
家族全員での生前贈与計画が、最大の節税効果を生みます

相続税対策との組み合わせ

生前贈与単独ではなく、他の相続税対策と組み合わせるのが効果的。

組み合わせ効果
暦年贈与+生命保険生命保険の非課税枠(500万×法定相続人)も併用
住宅取得資金贈与+小規模宅地特例居住用不動産を80%評価減
相続時精算課税+値上がり資産評価額固定で将来の値上がり益を回避
暦年贈与+配偶者居住権配偶者居住権で二次相続を抑える

よくあるトラブル

トラブル①:定期贈与とみなされる
「毎年110万円を10年間」という口頭契約を税務署に発見されると、最初の年に1,100万円の一括贈与とみなされ多額の贈与税が課税されることがあります。毎年個別に契約書を作成しましょう。
トラブル②:贈与税の申告漏れ
110万円を超える贈与は翌年2月1日〜3月15日に贈与税申告が必須。忘れると無申告加算税15〜20%。
トラブル③:他の相続人とのトラブル
特定の子だけに多額の生前贈与をしていると、他の相続人から「遺留分侵害額請求」の対象になります。

まとめ|計画的な贈与で家族に資産を残す

2024年改正で生前贈与のルールは大きく変わりましたが、計画性と書類整備を徹底すれば依然として強力な節税手段です。

ゆいぽけのエンディングノートでは、生前贈与の履歴・契約書の保管場所・受贈者を整理して残せます。相続税の基礎知識生命保険と相続財産目録の作り方もあわせてご活用ください。

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結果
純節税効果(推定)
990万円
相続税節税 990万円 − 贈与税 0円
累計贈与額
3,300万円
年間非課税枠
330万円
年間贈与税
0円
累計贈与税
0円
  • 2024年改正により、相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算されます(経過措置あり)
  • 「定期贈与」と認定されないよう、毎年契約書を作成し銀行振込で履歴を残すこと

※ 概算値です。2024年改正の7年加算ルール、定期贈与認定など個別事情で結果は変動します。

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