相続・遺言
2026年4月23日
更新: 2026年6月15日

相続放棄の手続き完全ガイド|3ヶ月の期限・必要書類・費用をわかりやすく解説

相続放棄の手続き完全ガイド|3ヶ月の期限・必要書類・費用をわかりやすく解説

相続放棄は「死亡を知った日」から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述する手続き。借金や連帯保証を引き継がずに済みます。費用(実費3,000円〜)、必要書類、期限伸長の方法、「してはいけない3つのこと」までを実務ベースで解説します。

この記事のポイント

  • 相続放棄は「死亡を知った日」から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述する必要がある
  • 預貯金だけでなく借金・連帯保証債務も引き継がないで済む
  • 必要書類は戸籍謄本・住民票除票・相続放棄申述書など。費用は1人3,000円〜
  • 期限を過ぎても「熟慮期間の伸長」を申立てれば延長できるケースがある

相続放棄とは?3つの選択肢

相続が発生したとき、相続人には次の3つの選択肢があります。

選択肢内容期限
単純承認プラスもマイナスもすべて相続3ヶ月経過で自動成立
限定承認プラスの財産の範囲内で負債を返済3ヶ月以内・共同相続人全員
相続放棄すべて相続しない。最初から相続人でなかったとみなされる3ヶ月以内・単独で可能

負債(借金・連帯保証・未払い税金など)のほうが明らかに多いなら、相続放棄が最もシンプルで安全な選択です。限定承認は全員の合意が必要なため、実務ではほとんど使われません。

なぜ「3ヶ月以内」なのか

民法915条により、相続人は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に、単純承認・限定承認・相続放棄のいずれかを選ばなければなりません。この期間を熟慮期間と呼びます。

3ヶ月を過ぎると、自動的に「単純承認」したものとみなされ、借金も含めてすべて相続することになります。したがって、相続人が亡くなったと知ったらまず財産調査を急ぎ、早期に判断することが鉄則です。

「知った時」からカウント
起算日は「被相続人の死亡日」ではなく「自分が相続人となったことを知った日」です。後から相続人だと判明した場合、その判明日からカウントが始まります。

必要書類一覧

相続放棄の申述に必要な書類は、申述者の立場(子・孫・父母・兄弟姉妹)によって異なります。基本セットは以下のとおりです。

▼ 全員共通の必要書類

  • 相続放棄申述書(家庭裁判所のサイトからダウンロード可能)
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 申述人(放棄する人)の戸籍謄本
  • 収入印紙 800円分(申述人1名につき)
  • 郵便切手 数百円分(家庭裁判所ごとに指定あり)

申述人が子・孫の場合は被相続人の出生から死亡までの戸籍、父母が申述する場合は子(被相続人)の出生から死亡までの戸籍と孫の死亡がわかる戸籍など、関係性の追加書類が必要です。

費用の相場

項目費用備考
収入印紙800円/人申述書に貼付
郵便切手500〜1,000円管轄裁判所による
戸籍謄本類1,500〜3,000円450円/通 × 必要数
司法書士に依頼3〜6万円/人書類作成と収集のみ
弁護士に依頼5〜15万円/人交渉や裁判対応まで可

自分で手続きする場合の実費は1人あたり3,000〜5,000円。シンプルなケースなら自力でも十分可能です。

手続きの流れ

▼ 相続放棄の5ステップ

  • ① 被相続人の財産(プラス・マイナス)を把握する
  • ② 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所を確認する
  • ③ 必要書類を準備し、申述書に記入する
  • ④ 家庭裁判所に申述書を提出(郵送可)
  • ⑤ 家庭裁判所から届く「照会書」に回答・返送
  • ⑥ 「相続放棄申述受理通知書」が届いたら完了

全体で約1〜2ヶ月かかります。債権者に提示するために「受理証明書」(150円)を発行してもらうことも多いです。

期限を過ぎそうなときの対処

3ヶ月の期限に間に合わない事情があれば、家庭裁判所に「熟慮期間伸長の申立て」をして期間を延ばすことが可能です。財産調査に時間がかかる、海外在住で書類が揃わないなどの合理的な理由があれば、通常3ヶ月程度の延長が認められます。

また、3ヶ月を過ぎた後に借金の存在が判明した場合は、発覚から3ヶ月以内であれば相続放棄が認められるケースもあります(大審院の判例)。諦めずに弁護士に相談しましょう。

相続放棄で絶対にしてはいけないこと

注意①:遺産に手をつけない
相続財産を使う・処分する・名義変更するといった行為は「単純承認」とみなされ、その後の相続放棄ができなくなります。葬儀費用の支払いは例外とされますが、判断に迷う場合は必ず専門家に相談してください。
注意②:次順位の相続人に連絡を
自分が放棄すると、次順位(子が放棄→父母→兄弟姉妹)に相続権が移ります。関係者全員が適切に判断できるよう、相続放棄したことを連絡しましょう。
注意③:生命保険金は受け取れる
受取人指定のある生命保険金・死亡退職金は相続財産ではないため、相続放棄しても受け取れます(ただし相続税の非課税枠は使えない)。

まとめ|相続手続きは計画的に

相続放棄は「借金から家族を守る」重要な制度ですが、期限が短く書類も多いため、早めの準備が欠かせません。死亡後のスケジュール全体は相続手続きの流れと期限チェックリストで確認できます。

借金や連帯保証の有無が複雑で判断に迷う場合や、期限が迫っている場合は、相続に強い専門家への相談が安全です。遺産放棄(相続放棄)の手続きの全体像は、鶴見総合法律事務所の解説ガイドでも詳しく確認できます。

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