この記事のポイント
- 遺族年金は遺族基礎年金(国民年金)と遺族厚生年金の2階建て
- 遺族基礎年金は18歳到達年度末までの子がいることが必須条件
- 遺族厚生年金は配偶者・子・父母・孫・祖父母も対象(順位あり)
- 2024年4月時点の遺族基礎年金は年額816,000円+子の加算
- 請求は死亡日から5年以内。年金事務所または市区町村役場で手続き
遺族年金とは?2階建ての公的保障
遺族年金は、年金加入者または受給者が亡くなったときに、生計を維持されていた家族に支給される公的年金です。日本の年金は国民年金(1階)と厚生年金(2階)の2階建て構造で、遺族年金もそれぞれ「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」が用意されています。
遺族基礎年金 vs 遺族厚生年金の違い
| 遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 | |
|---|---|---|
| 加入制度 | 国民年金 | 厚生年金(会社員・公務員) |
| 受給対象者 | 子のある配偶者または子 | 配偶者・子・父母・孫・祖父母 |
| 金額(2024年) | 年額816,000円+子の加算 | 亡くなった人の厚生年金額の3/4 |
| 納付要件 | 2/3以上納付 or 直近1年無滞納 | 同左 |
| 受給期間 | 子が18歳到達年度末まで | 原則終身 |
会社員(厚生年金加入者)が亡くなった場合、配偶者は遺族基礎年金+遺族厚生年金の両方を同時受給できます。自営業者(国民年金のみ)の妻は遺族基礎年金のみ。
遺族基礎年金の詳細
受給条件
すべて満たすこと
- ① 死亡者が国民年金被保険者だった、または受給資格期間を満たしていた
- ② 死亡者の保険料納付要件を満たす(2/3以上納付 or 死亡日前1年間に滞納なし)
- ③ 受給者が「子のある配偶者」または「子」(生計維持関係)
- ④ 子は18歳到達年度末(高校卒業時期)まで。障害等級1〜2級の場合は20歳まで
金額(2024年4月〜)
| 受給者の状況 | 年額 | 月額 |
|---|---|---|
| 子のある配偶者・子1人 | 1,050,800円 | 87,567円 |
| 子のある配偶者・子2人 | 1,285,600円 | 107,133円 |
| 子のある配偶者・子3人 | 1,363,800円 | 113,650円 |
基準額は816,000円で、第1子・第2子は各234,800円、第3子以降は各78,300円が加算されます。
遺族厚生年金の詳細
受給順位
上位の人が受給すると、下位の人は受給できません。
金額の計算
遺族厚生年金 = 亡くなった人の老齢厚生年金額 × 3/4
老齢厚生年金額は厚生年金加入期間の平均報酬額と加入月数で決まる。加入期間が短い場合(25年未満)は300月加入とみなして計算する短期要件があります。
具体例:年収500万円で20年加入の夫が死亡
- 本来の老齢厚生年金額:年約100万円
- 遺族厚生年金:年100万円 × 3/4 = 年75万円(月約6.3万円)
- 遺族基礎年金(子あり)と合算で月約15万円
中高齢寡婦加算(女性の40歳〜65歳)
遺族厚生年金には中高齢寡婦加算という上乗せがあります。子のない妻、または子が18歳を超えた妻が対象。
- 対象:40歳〜65歳の妻
- 金額:年額612,000円(2024年)
- 条件:子のない妻、または子が18歳到達年度末を超えた妻
- 65歳以降は自分の老齢年金に切り替わる
申請方法・必要書類
申請先
| 年金種別 | 申請先 |
|---|---|
| 遺族基礎年金のみ | 市区町村役場 |
| 遺族厚生年金(共済年金含む) | 年金事務所 |
| 両方 | 年金事務所(一括) |
必要書類
- 年金請求書(年金事務所で取得)
- 死亡者の年金手帳または基礎年金番号通知書
- 戸籍謄本(死亡者と請求者の関係が分かるもの)
- 世帯全員の住民票(除票含む)
- 請求者の収入確認書類(生計維持の証明)
- 死亡診断書のコピー
- 請求者名義の預金通帳
- マイナンバーカード or 通知カード
請求期限:5年以内
遺族年金は死亡日から5年以内に請求しないと時効で消滅します(年金保険法)。請求漏れがないよう、葬儀後早めに手続きを。
注意点とよくあるケース
住民票上の同居・生計維持・社会通念上の夫婦関係が認められれば、内縁の妻にも遺族年金は支給されます。社会保険上は配偶者と同等。
遺族年金受給者が再婚すると受給資格を喪失します。事実婚(再婚)も含む。
65歳以降は自分の老齢厚生年金が優先され、遺族厚生年金との差額のみ支給されます。複雑なので年金事務所で試算を。
他の死亡関連給付
| 給付名 | 金額 | 対象 |
|---|---|---|
| 寡婦年金 | 夫の老齢基礎年金額の3/4 | 10年以上婚姻していた60〜65歳の妻 |
| 死亡一時金 | 12〜32万円 | 国民年金保険料を3年以上納付した死亡者の遺族 |
| 葬祭費(国保) | 3〜7万円 | 国民健康保険加入者の喪主 |
| 埋葬料(健保) | 5万円 | 健康保険被扶養者の遺族 |
まとめ|知らないと損する公的保障
遺族年金は遺族の生活を支える最大の公的セーフティネット。請求しない限り自動支給されないため、知識を持っていることが何よりも重要です。
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