この記事のポイント
- 埋葬料は健康保険から一律5万円が支給される給付制度(協会けんぽ・健保組合の被保険者が亡くなった場合)
- 国民健康保険は「葬祭費」(自治体により1〜7万円、東京23区は7万円)
- 申請期限は死亡日の翌日から2年。過ぎると時効で受給不可
- 受給対象は生計維持関係にあった人(配偶者・親・子・兄弟など。喪主に限らない)
- 必要書類は申請書+死亡を証明する書類+葬儀の領収書+振込先口座の4点が基本
家族が亡くなった直後の慌ただしい時期、見落とされがちなのが「埋葬料」の請求。健康保険から一律5万円がもらえる公的給付ですが、自動では振り込まれず、必ず遺族からの申請が必要です。
この記事では、司法書士のノブ先生と終活カウンセラーのあゆ先生に、52歳の読者が相談する形で、埋葬料の金額・受給対象・申請手順・期限を完全解説します。

読者さん(52歳)父を亡くした娘
ノブ先生司法書士
あゆ先生終活カウンセラー
第1章|埋葬料とは?葬祭費との違い
埋葬料は、健康保険の被保険者が亡くなったとき、生計維持関係にあった人に支給される公的給付金です。同じような制度に「葬祭費」がありますが、加入していた保険の種類で名称と金額が変わります。
| 区分 | 給付名 | 金額 | 申請窓口 |
|---|---|---|---|
| 協会けんぽ・健康保険組合 | 埋葬料 | 一律5万円 | 各保険者(協会けんぽ支部・健保組合) |
| 国民健康保険 | 葬祭費 | 1〜7万円(自治体により) | 市区町村役場 |
| 後期高齢者医療制度(75歳以上) | 葬祭費 | 3〜7万円(自治体により) | 市区町村役場 |
| 共済組合 | 埋葬料(埋葬費) | 5万円〜(組合により上乗せ) | 各共済組合 |
父が会社員時代に協会けんぽで、退職後に国民健康保険に切り替えたんですが、どちらに請求すればいいんでしょうか?
判断基準は「亡くなった時点で加入していた保険」です。退職して国保に切り替えていたら、市区町村役場で葬祭費を申請します。協会けんぽの方は申請対象外です。
例外として、退職後3か月以内に亡くなった場合は協会けんぽ・健保組合の埋葬料が支給されることがあります(資格喪失後の継続給付)。任意継続中の方も対象です。
第2章|いくらもらえる?金額一覧
埋葬料は全国一律5万円で迷う余地がありません。一方、葬祭費は自治体ごとに金額が異なります。
主要自治体の葬祭費
| 自治体 | 葬祭費 |
|---|---|
| 東京都23区 | 7万円(全国最高水準) |
| 横浜市 | 5万円 |
| 名古屋市 | 5万円 |
| 大阪市 | 5万円 |
| 福岡市 | 3万円 |
| 札幌市 | 3万円 |
| 仙台市 | 5万円 |
第3章|誰が受給できる?
埋葬料は「生計維持関係にあった人」が受給できます。喪主に限らず、亡くなった被保険者と生計を共にしていた家族が対象です。
受給対象の優先順位
- 配偶者(事実婚も含む)
- 子(同居している場合が優先)
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- 上記以外でも生計維持関係があれば対象

うちは父と母が二人暮らしで、私は別世帯。葬儀の喪主は私が務めましたが、母が受給者になるんですか?
そうです。お父さまと生計維持関係にあったお母さまが受給対象です。喪主と受給者は別人でOKなんですよ。
逆に、お父さまに身寄りがなく生計維持関係の人がいない場合は、実際に埋葬を行った人(友人や知人を含む)が「埋葬費」として埋葬実費の実額(上限5万円)を受け取れます。これは別制度です。
第4章|申請の流れ4ステップ

- 1加入保険を確認
健康保険証を確認し、協会けんぽ・健保組合・国保・後期高齢者・共済のどれか特定
- 2申請書を入手
協会けんぽは公式サイトでDL、国保・後期高齢は市区町村窓口、健保組合は組合HPから
- 3必要書類を添付して窓口提出(または郵送)
死亡を証明する書類・葬儀の領収書コピー・振込先口座情報を添付
- 4受給者の銀行口座に振込
通常2週間〜2か月で振込(保険者によって所要時間が異なる)
第5章|必要書類リスト
協会けんぽの場合
- 健康保険埋葬料(費)支給申請書(協会けんぽ公式サイトでDL可)
- 事業主の証明(在職中だった場合)または死亡を証明する書類(住民票除票・戸籍謄本・死亡診断書のコピーなど)
- 振込先口座情報(受給者本人名義)
- 埋葬費を請求する場合は葬儀の領収書(写し)
国民健康保険(葬祭費)の場合
- 葬祭費支給申請書(市区町村窓口で入手)
- 故人の保険証(返却を兼ねて持参)
- 葬儀の領収書(喪主名義のもの)
- 喪主・申請者の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード)
- 申請者の銀行口座情報
- 申請者と喪主が異なる場合は委任状
第6章|申請期限と注意点
埋葬料・葬祭費とも、申請期限は死亡日の翌日から2年。これを過ぎると時効により受給不可になります。
| 給付名 | 申請期限 | 起算日 |
|---|---|---|
| 埋葬料 | 2年 | 死亡日の翌日 |
| 埋葬費 | 2年 | 埋葬を行った日の翌日 |
| 葬祭費(国保・後期高齢) | 2年 | 葬儀を行った日の翌日 |
| 家族埋葬料 | 2年 | 家族の死亡日の翌日 |
もし2年を1日でも過ぎたら、本当に1円ももらえないんですか?事情があって遅れた場合は?
原則として時効後の救済はほぼありません。「知らなかった」は時効中断事由になりません。
例外として、行政側の事務処理ミスや、相続人不存在などの特殊事情が認められれば救済されることもありますが、極めてレアです。死亡日からカウントして2年と覚えて、葬儀直後に動いてください。
第7章|国民健康保険の「葬祭費」との実務上の違い
協会けんぽ・健保組合の埋葬料と、国保・後期高齢の葬祭費は制度設計が異なる別物です。実務上の違いを押さえておきましょう。
| 項目 | 埋葬料(協会けんぽ・健保) | 葬祭費(国保・後期高齢) |
|---|---|---|
| 受給者 | 生計維持関係にあった人 | 喪主(葬儀を行った人) |
| 金額 | 一律5万円 | 1〜7万円(自治体により) |
| 領収書 | 原則不要(埋葬料) | 必須(喪主名義) |
| 申請窓口 | 保険者(協会けんぽ支部等) | 市区町村役場 |
| 振込までの期間 | 2週間〜2か月 | 2週間〜1か月(自治体差) |
第8章|埋葬料と一緒に確認したい他の給付
埋葬料・葬祭費以外にも、家族が亡くなった時にもらえる公的給付があります。漏れなく請求しましょう。
- 遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金): 配偶者・子に支給。詳細は遺族年金ガイドへ
- 寡婦年金: 国民年金加入の夫が亡くなり妻が60〜65歳の期間。詳細は寡婦年金ガイドへ
- 死亡一時金: 国民年金加入で遺族基礎年金の対象家族がいない場合(最大32万円)
- 高額療養費の払い戻し: 死亡前に医療費が高額だった場合の払い戻し請求も可能
- 未支給年金: 亡くなる月までの年金で未受取の分を遺族が請求できる
死生観診断で、葬儀・お墓・遺族手続きの全体像を把握
埋葬料は葬儀後の手続きのごく一部。死生観診断で自分のタイプを知ると、家族に残すべき情報・手続きの優先順位が見えてきます。
死生観診断を試す(5分・無料)まとめ|2年以内に「加入保険」を確認して申請を
埋葬料・葬祭費は自動振込ではなく、遺族が申請して初めて受け取れる給付金です。申請期限は2年、加入していた保険によって名称・金額・窓口が変わります。
最初にやることは「亡くなった方の健康保険証で加入保険を確認」。協会けんぽなら全国一律5万円、国保なら市区町村窓口へ。同時に遺族年金・寡婦年金・未支給年金も漏れなく請求しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 埋葬料はいくらもらえますか?
A. 協会けんぽ・健康保険組合・共済組合は一律5万円。国民健康保険・後期高齢者医療制度は「葬祭費」と呼び、自治体により1〜7万円(東京23区は7万円が最高水準)。
Q. 埋葬料の申請期限はいつまでですか?
A. 死亡日の翌日から2年。これを過ぎると時効により受給不可になります。「忙しくて忘れていた」での救済はほぼ認められません。
Q. 埋葬料は誰が受給できますか?
A. 亡くなった被保険者と生計維持関係にあった人。配偶者・子・親・兄弟など。喪主に限らず、別世帯の子でも被保険者と生計維持関係(仕送りなど)があれば受給可能です。
Q. 喪主と埋葬料の受給者は同じ人でないとダメですか?
A. 協会けんぽ・健保組合の「埋葬料」は喪主と受給者が別人でOK。国保・後期高齢の「葬祭費」は原則喪主が受給者です。
Q. 申請に必要な書類は何ですか?
A. 基本は4点。①申請書(保険者から入手)、②死亡を証明する書類(住民票除票・戸籍謄本・死亡診断書コピーなど)、③葬儀の領収書(葬祭費の場合は喪主名義必須)、④受給者の振込先口座。事業主証明があれば死亡証明書類が不要になる場合もあります。
Q. 退職直後に亡くなった場合、協会けんぽから埋葬料はもらえますか?
A. 退職から3か月以内の死亡なら、協会けんぽ・健保組合から埋葬料(5万円)が支給されます。これは「資格喪失後の継続給付」と呼ばれる制度です。任意継続中も対象。
Q. 海外で亡くなった場合も申請できますか?
A. 日本の健康保険・国保に加入していれば海外死亡でも申請可能。死亡を証明する書類(現地の死亡診断書の翻訳など)と葬儀の領収書を揃えて窓口へ。手続きが煩雑になるため、保険者に事前相談がおすすめです。
Q. 振込まではどのくらいかかりますか?
A. 通常2週間〜2か月。協会けんぽは比較的早く2〜4週間、健保組合や自治体によっては1〜2か月かかる場合もあります。葬儀費用の立て替えに不安がある場合は、申請時に「振込時期の目安」を聞いておきましょう。

